SNSの偽広告につられ泣き寝入りする中高年

SNSにはびこる偽広告。だまされるのは若年層と思いきや、なんと昨今では中高年の被害が増えているという。消費生活センターへの年代別の相談件数では、50歳代が最多となっているそうだ。

出典:読売新聞オンライン

しかし、そんな中高年だがなかなか声が挙げられない背景があるようだ。専門家は「経済的に余裕があり、世間体も気にする中高年はトラブルに巻き込まれても泣き寝入りしやすい」と語る。

消費トラブル相談が増えるが、中でも…

国民生活センターによると、2022年に全国の消費生活センターに寄せられたSNS関連の消費トラブル相談は計6万件を超え、統計を開始した09年以降で最多になった。

なかでも40~60歳代からの相談の増加が目立ち、年代別では前年までトップを独走していた20歳代に取って代わり、50歳代が初めて最多になっている。中高年が巻き込まれがちなトラブル事例では、もうけ話のタネになるとうたう「情報商材」や投資、副業などに関するものも多いらしい。

国民生活センターの担当者によれば「SNS広告では、利用者の年齢層や関心事を把握した上で魅力的な商品やサービスを提案してくる。値段が安すぎるなど、少しでも不審な点があれば、絶対に取り合わないでほしい」と話す。

偽の高級ブランドをネット販売で荒稼ぎのグループ摘発

関東地方に住む50歳代の女性は7月、大手百貨店の「閉店セール」と銘打ったSNS広告から、本物そっくりの偽サイトに誘導された。そこでは定価100万円ほどの高級ブランドの腕時計が2万円で販売されており、思わず飛びついてしまったという。商品を受け取った後で冷静になり、百貨店の本物のサイトを開いたところ、偽サイトへの注意を呼びかける掲示を見つけ、だまされたことに気づいた。

同様の手口で偽の高級ブランド品を売りさばく犯罪グループを巡っては、愛知県警が8月下旬、関東や関西の男女5人を商標法違反などの容疑で逮捕した。このグループは、偽ブランドバッグなどを本物の1割以下の値段で販売し、昨年1年間で約25億円を荒稼ぎしていた疑いがあるという。

ネットリテラシーが低い中高年

情報リテラシーが専門の高橋暁子・成蹊大客員教授は「デジタルに疎く、お金に余裕もある中高年が狙われているのは明らか。トラブルに遭っても、世間体を気にして周りに相談しづらいことも見透かされているのだろう」と語る。その上で、「泣き寝入りは犯罪グループの思うツボであるばかりか、新たな被害者を増やすことにもつながりかねない」と警鐘を鳴らす。

偽ブランド品詐欺、偽販売サイト詐欺被害救済方法

消費者ホットライン(188)

消費者トラブルを幅広くカバーする消費生活センター。
その消費生活センターへの相談をスムーズに行えるようにサポートするのが消費者ホットラインである。

消費者ホットラインは「188」と短い電話番号で全国どこからでもかけることができ、最寄りの消費生活センターへ電話を取り次いでくれる。
咄嗟のことで「どこに相談したらいいか」となった時にも、「188(いやや)」とだけ覚えていればすぐに連絡を取ることができ、偽ブランド品やサイトで騙された際にも非常に便利だ。

消費生活センターではアドバイスや適した専門機関の紹介だけでなく、相手とのやり取りが難航している時に間に介入して交渉を手助けする「あっせん」も提供している。
ネットでの買い物関連で困ったら速やかに相談したい窓口だ。

警察相談専用電話(#9110)

偽ブランド品詐欺、偽販売サイト詐欺は、年々その手口は新しく巧妙になっているため、詐欺や犯罪に関する情報量が圧倒的に多い警察へ相談したいと考える人は多いだろう。
そんな時、緊急性が低い案件に対しても警察に直接話を聞いてもらえるのが警察相談専用電話である。

被害状況を警察に話すことで、類似の案件や同じ相手による詐欺事件がないかデータベースから照会し、最も適した解決方法をアドバイスしてくれる。

また、警察に被害届を出すことで問題解決に有利に動くことも多い。
被害届を出すべきか、どのような手続きが必要かといった相談もこちらの窓口で行える。

法テラス

発生したトラブルに関して、法的な観点からのアドバイスや、適した法律事務所の紹介などを行なっているのが法テラスだ。
また消費者トラブルだけでなく、法律的な手続きで困った時にも相談に乗ってくれる。

経済的に余裕のない人は無料で法律相談を行うこともでき、弁護士や司法書士に対する分割支払いの制度を利用できる場合もあるので一度問い合わせてみると良いだろう。
偽ブランド品詐欺や偽販売サイト詐欺の場合、被害が高額になる可能性が高いので、費用の心配をせずに法律相談ができるのはメリットが大きい。

消費者相談室

経済産業省が消費者トラブルの問い合わせに広く対応するよう設けているのが消費者相談室
被害状況を相談員がヒアリングし、ケースに応じてアドバイスに止まらず専門機関の紹介なども行ってくれる。

消費生活センターと似た働きに感じるが、トラブル解決には幅広い視点からの意見を集めるのが効率的だ。
ぜひ消費者相談室にも相談を行い、より自分に合った解決策を見つけてほしい。

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マーケティング・マスター

マーケティング/コミュニケーションの領域の最前線で培ってきた経験で、最旬のトレンド・マターに鋭く切り込んで解説します!経験者だけが知ってる貴重な裏話もっ!

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