今回、ジブリは映画「気にたちはどう生きるか」の上映にあたって、異例との言える広告戦略を実施した。通常と異なり、上映開始まで全くと言っていいほど内容についてのアナウンスはなく、ストーリーだけだなく、物語の舞台や登場人物なっど一切の情報遮断を行った。
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コミュニケーション戦略の基本AIDMA
広告マーケティングの基礎として「AIDMAの法則」がある。商品やサービスの購入に向けて、生活者は「Awareness(認知)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→Action(行動)」というプロセスをたどるというもの。頭文字を取って「AIDMA」(注:冒頭のAを「Attention=注意」と置く場合も多い)。
プロセスのしょっぱなは「Awareness(認知)」。知られなければ買われない。当たり前と言えば当たり前。だから認知拡大のために企業は宣伝を打つ必要が出てくる。
全く告知を行わないということは。この「Awareness(認知)」を放棄することになる。すると通常で考えるとInterest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→Action(行動)へは結びつかない。
現代はAIDMAが通用しないのか
通常「Awareness(認知)」を獲得するには、TVや新聞といったマス広告を利用してコミュニケーションを図ったりするのだが、昨今我々の社会にはSNSが4マスに加えもう一つのマスメディアとして定着している。
しかし、従来の4マスと違ってSNSによる情報発信はアンコントローラブルで、発信者の思惑を無視してネガティブな情報が一気に広まってしまう。すると今の時代、最初に「Awareness(認知)」の獲得を図っていくことは、得策ではないという考えも芽生えてしまったりする。
ジブリisジブリ
今回「君たちはどう生きるか」の公開4日間の興行成績が、「千地千尋の神隠し」の19億4000万円を上回る21億4000万円だったという。
では今回、「君たちはどう生きるか」でジブリが行ったNo宣伝戦略は成功だったのかというとその成功には理由がる。この戦略に打って出る絶対条件として、内容に対する絶対的な自信に加えて、「あのスタジオジブリ」「あの宮﨑駿」のような高いブランド力が必要となる。
つまり我々の価値観に染み付いた「ジブリはジブリ」という信頼がNo宣伝戦略を成功させてと考える。