デジタルコミュニケーションがCMを駆逐する!?

コミュニケーションの世界にデジタル化の波が急速に押し寄せ、従来のスタイルとは全く変わってしまった。そして、現在は訪れたデジタルの波に戸惑いつつも、変わってしまったコミュニケーションの世界で新しい生き方を模索している。

始まりは山下達郎

もともと私がコミュニケーションの世界を目指したきっかけは、80年代の中学校時代に出会ったサントリービールのCMにあった。そのCMは海外の南国風景に山下達郎の曲を載せて、女性が軽くステップを踏みながらシズル感たっぷりにサントリー生ビールをアピールする。そんなCMだった。

そのCMが創り出す世界はは、当時中国地方の陰鬱とした山間部に暮らす中学生の脳天を突き抜け、「オレは絶対このCMをつくる仕事がしたい」とまで宣言させ、70を過ぎた婆さまに鼻で笑われた記憶がある。

バブルがCMの世界を広げる

80何代後半から10年くらいの期間、日本はバブル景気という実態のない好景気という不思議な時代を迎える。その勢いはCM制作の世界にも影響し、その当時に作成されたCMを観ると時代が透けて見える。

その中でも、あるCMに出会いCMを創る仕事がしたかった高校生は度肝を抜かれる。それが米米クラブの「浪漫飛行」を使用したJALのテレビCMだ。まるで映画のワンシーンのような映像が画面いっぱいに広がって、たった30秒そこらの映像で観る側に色んなものを想像させる。沖縄に行きたい!南の島に行きたい!飛行機に乗りたい!CMに触れそんな思いを持ってもらえるなんて最高の仕事じゃないか!

なんとなく仕組みが見えてきた頃

それからいてもたってもいられずに、とにかく東京の大学に出て広告代理店(少し学習した)に入らなければ・・・。しかしここら辺で少し行き先を見失って、華やかな街をウロウロしていたら、また出会ってしまったのです山下達郎に!それはJR東海のX’mas Expressです。

運命のCMに出会って、最初は脳天を直撃され、次に度肝を抜かれ、そして今度はハートを鷲づかみにされたような感覚です。

誰とも約束なんかしていないのに「きっと君は来ない~」とかいって、いつだってひとりぼっちなのに「一人きりのX’masイブ」なんて言っちゃたりして、とにかくCMが創り出した世界に酔っていました。

2時間の映画でもなく、連続のテレビドラマでもないのに、わずか30秒の創り出された世界で人々を陶酔させる。CMというコミュニケーションは、もの凄いポテンシャルを持っているんだと確信しました。

いよいよ作り手の世界へ

そして、やっとの思いで創る側に立つことができ、幸運にも小泉今日子さんとのお仕事をさせていただきました。

しかし、会社の隣の島でやっていたのは、タグボートさんの「JR SKI SKI」うーん、こっちもやりたかったー。

すっかり様変わりしたコミュニケーション

しかし、あれから随分と時間が過ぎ、気がつくとコミュニケーションの主流はデジタルになってしまい、エモーショナルな部分はそぎ落とされるようになりました。

広告表現はA/Bテストで判断され、フィーリングなどと言った感覚は無視されてしまいます。

あの頃の広告で人々の心が動き、社会現象にまでなったことも事実です。もう一度情緒感たっぷりのCMをつくるのは夢なのでしょうか。

monoka-king

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マーケティング・マスター

マーケティング/コミュニケーションの領域の最前線で培ってきた経験で、最旬のトレンド・マターに鋭く切り込んで解説します!経験者だけが知ってる貴重な裏話もっ!

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